コラム詳細

肋骨骨折で寝るとき痛い…楽な寝姿勢や寝方のコツを整形外科医が解説

肋骨骨折で寝るとき痛い…楽な寝姿勢や寝方のコツを整形外科医が解説

「転んであばらが痛い、もしかして肋骨骨折?」そんな時、治療と並んで見落とされがちなのが枕の重要性です。整形外科医・山田朱織が肋骨骨折の基礎知識から、自身の骨折体験による枕の比較検証まで、一本のコラムにまとめました。

1. 肋骨骨折の原因

肋骨は片側に12本ずつあり、肺や心臓といった重要な臓器を守る硬いガードの役割を果たしています。骨折すると内臓に影響が及ぶこともあり、決して軽視できません。原因は大きく2つに分かれます。

  • 強い外力(交通事故・転落・スポーツ) 交通事故でシートベルトが肋骨に当たる場合、高所からの転落、ラグビーや柔道などのコンタクトスポーツによる衝突などが代表的です。強い外力の場合は肋骨だけでなく内臓への影響も考えられます。
  • 軽い外力(繰り返す咳・くしゃみ・骨粗鬆症) 肺炎やアレルギーで咳やくしゃみが続くだけでも骨折することがあります。骨粗鬆症がある高齢者では、わずかな外力や何もしていない状態でも骨折が起こる場合があります。


2. 肋骨骨折で起こる症状

肋骨骨折は比較的わかりやすい症状が出ます。以下のような症状があれば整形外科を受診してください。

  • 折れている部位を押すと局所に痛みが出る
  • 深呼吸をすると痛みが増す
  • くしゃみや咳で激痛が走る
  • 寝返りで布団に肋骨が当たり、痛みで目が覚める
  • 局所の腫れ・皮下出血が見られる

3. 肋骨骨折の治療

複数本が折れていたり、折れた骨が肺に刺さるような重篤なケースでは手術が必要です。1〜2本程度の骨折であれば、多くの場合は保存療法で対応します。

保存療法の主な内容
バストバンド(固定ベルト)で肋骨のグラつきを抑えます。当院では折れている側だけを固定する肋骨テーピングも行っています。反対側の肺は圧迫しないため十分な呼吸が維持できます。痛みが強い場合は鎮痛剤を処方することもあります。   
山田式肋骨テーピングの仕方▼

4. 整形外科医・自身の骨折体験

夜の23時半ごろ、高い壁を拭こうと足場に乗っていたところ踏み外して転落。床に叩きつけられた瞬間、自分でも「左肋骨の何番が折れたな」とわかりました。日々患者さんの肋骨骨折を治療している整形外科医が、まさか自分でやってしまうとは――という経験です。

コルセットとテーピングで固定しましたが、骨折から3日はくしゃみ・咳・笑うだけで強い痛みが走ります。「せっかく骨折したなら」と、枕の高さによって痛みがどう変わるかを実際に検証してみることにしました。


5. 肋骨骨折時の正しい寝方・動き方

肋骨骨折中はゆっくり体軸を真っすぐにして寝ていきます

まず大前提として、肋骨を骨折した場合は必ず骨折した側を下にして横向きに寝ます。骨折部位を下にすることで固定され、動きによるずれを最小限に抑えることができます。

注意:呼吸について
肋骨骨折中は胸式呼吸を避け、腹式呼吸を意識してください。お腹を膨らませて空気を取り込むことで、肋骨への負担を大幅に減らせます。

横になる際の正しい動作のポイントは次の通りです。

  •  骨折側の手でしっかり支える 左肋骨骨折なら左手を床につき、体が曲がらないように背骨を真っすぐ維持しながら横向きになります。
  •  体の軸を一直線に保つ 足と肩が「同時に」動くことが重要です。足が先・肩が先というひねりが生じると胸の筋肉が引っ張られ、激しい痛みにつながります。
  •  ゆっくり足を上げて頭を枕に乗せる 焦らず、体の直線を崩さないようにして寝ます。
  •  横になったら力を抜き腹式呼吸 体が安定したら胸をリラックスさせ、お腹で呼吸します。
寝返りのコツ
通常の寝返りは両手を胸の前でクロスして行いますが、骨折中は骨折側の手を肋骨に当て、反対の手で腕を押さえて胸が動かないように固定しながら寝返りします。枕の高さが合っていれば、足と肩が同時に動き、骨折していてもスムーズに左右へ寝返ることができます。

6. 枕3種類の比較検証

同じ骨折の状態で、3種類の枕(合った枕・枕なし・凹凸枕)を実際に使い、寝返りの痛みを比較しました。凹凸や柔らかい枕では寝返りが打ちにくくなり、痛い側の肋骨が下になった時により強い痛みを誘発します。

枕の種類 寝返り(右から左) 寝返りからの戻り 骨折側(左)横向き
高さの合った枕 スムーズ 痛みなし 楽に維持できる
枕なし なんとか可能 激痛・動けない 体軸がぶれ強い痛み
凹凸枕 山を登る動作で痛み 坂を落ちる感覚・不安定 頭が沈み胸が圧迫される
高さの合った枕
体の軸が安定し、左右どちらへもスムーズに寝返りができます
枕なし
頭が下がり背中が反るため体軸がぶれ、戻る動作で強い痛みが生じます
凹凸枕
山を登り降りする動作で頭が不安定になり、揺れがすべて肋骨に伝わります
検証結果のポイント
「枕があるかどうか」だけでなく、「高さと硬さが自分に合っているかどうか」が痛みの大きさを左右します。患者さんが「骨折した夜は眠れなかった」とおっしゃる原因の多くも、枕が合っていないことにあります。枕と聞くと肩こりや不眠のイメージがありますが、肋骨骨折の夜間痛にも枕の高さは直結します。
今すぐできる応急対処
専用の枕がない場合でも、玄関マットとタオルケットで高さを調整した手作り枕で代用できます。実際に患者さんがこの方法で高さを合わせると、その日の夜から痛みが軽減して眠れたケースがあります。


7. 正しい起き上がり方

肋骨骨折中はゆっくり体軸を真っすぐにして寝ていきます

起き上がる際の痛みも、枕の合う・合わないで大きく変わります。正しい手順は次の通りです。

  •  骨折部位を手で押さえたまま横向きになる 肩と骨盤が必ず同時に動くよう意識します。
  •  完全に横を向いてから肘を使って起き上がる 反対側の腕の肘をついて、体の軸を真っすぐに保ちながらゆっくり起き上がります。
  •  体の直線を崩さない ひねりが加わるとその動きが肋骨に響くため、頭・体幹・骨盤を一直線にしたまま起き上がります。

合っていない枕では、この起き上がり動作の途中で体が不安定になり、痛みで動けなくなるケースもあります。

8. まとめ:骨折した日から枕を整える

肋骨骨折の治療はバストバンドや鎮痛剤が中心ですが、夜間の痛みを左右するのは枕の高さです。高さの合った枕があれば、寝返りや起き上がりによる骨折部位へのダメージを最小限に抑え、睡眠の質も維持できます。

専用の枕がなければ玄関マットとタオルで応急対処し、できるだけ早く高さを整えることをおすすめします。骨折当日から枕を整えること―これは整形外科医が身をもって確かめた事実です。

ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善

山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。

整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。

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診察をしている山田朱織

「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

16号整形外科院長 医学博士
㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えしております。


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