首が痛くて眠れない・寝返りができない方へ:原因と枕調節で改善した症例を整形外科医が解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
「布団に入ると首が痛くて寝付けない」「痛みで何度も目が覚めてしまう」「右向きにしか寝られない」——こうした悩みは、枕の高さが合っていないことで首が不自然な角度に保たれ、回復を妨げていることが多いです。
この記事では、首の痛みで眠れない原因から、今すぐ試せる枕の調節方法、そして実際に改善した患者さんの症例まで、プロの視点で詳しく解説します。
目次
1. なぜ首が痛くて眠れなくなるのか?主な原因

首が痛くて眠れないという悩みは、決して珍しいことではありません。多くの場合、日中の活動による負担が夜になって現れます。
- 一時的な負荷:普段とは違う運動や、重い荷物を持ち運んだことによる筋肉の疲労。
- 血流の悪化:体の冷えなどが原因で血行が滞り、痛みが生じるケース。
- 長期的な要因:単なる疲労だけではなく、数日続く場合は寝具環境の見直しが必要です。
- 加齢による骨の変形:変形性頚椎症など、骨が変形してトゲ状になり神経を圧迫すると、特定の向きにしか眠れない状態になることがあります。
2. 枕の高さが合わないと痛みは悪化する
首の痛みに大きく関わっているのが「枕の高さ」です。
どんなに良い素材の枕でも、自分の体に合っていなければ、首を不自然な角度に保ち続け、回復を妨げてしまいます。枕が高すぎると首が前傾した状態で固定され、寝返りを打つたびに痛みが出やすくなります。
実際に、交通事故によるむち打ちで眠れなかった患者が、首が安定する「硬さ」と「高さ」に枕を整えただけで、寝返りを打っても痛みが出ない状態まで改善した事例もあります。寝具が適切であれば、痛みの感じ方そのものが変わるのです。
3. 快適に眠るための寝具の条件と調節法
枕だけでなく、寝具全体の環境を見直すことが重要です。
- 枕の調節:まず見直すべきは高さが合っているかどうかです。首が安定し、不自然な角度にならないよう調整しましょう。
- 敷き寝具(マットレス):腰が沈み込みすぎないことがポイントです。柔らかすぎたり、へたったりしていると寝返りが打ちにくくなり、首への負担が増えます。
- 掛け布団:重すぎたり体にまとわりついたりするものは、寝返りの妨げになります。軽くて動きを邪魔しないものを選びましょう。
4. 痛みを和らげる寝る前の習慣
物理的な環境を整えたら、次は体と心の準備です。
- 穏やかなストレッチ:体を興奮させない程度の軽い動きで筋肉をほぐすと、入眠しやすくなり寝返りもスムーズになります。
- 心の安心感:「また痛くなるかも」という不安は、痛みを強く感じさせる要因になります。寝る前に「今日は大丈夫」と安心できる状態を作ることが大切です。
5. 症例:右向きにしか眠れなかったKさん(88歳)の改善

Kさんは四〜五年来、私たちの診療所に通っていらっしゃる患者さんです。Kさんの病気は「変形性脊椎症」、平たく言えば加齢による骨の変形です。レントゲン検査では、変形してトゲのようになった骨が首や腰の神経を圧迫していることがわかりました。
がんばり屋のKさんは入浴中の体操も毎日の散歩も欠かさず続けていました。腰痛はコントロールできていたのですが、どうにも我慢できないのが背中の痛みと頭痛でした。
「もう年なんだからしかたないと思っていますよ。だけど、朝から首が痛んだり、頭痛が続くのはつらい。それに、首が痛いものだから、どうしても右向きにしか寝られないんです」
首の痛みや頭痛の原因は、寝返りを打てないことにあると考えられました。Kさんはそれまで私が指導した手作りの「せんべい座布団枕」を使っていましたが、いつのまにか自己流に高さを変えていました。それが原因と考え、ベッドの上で実際に寝返りをしてもらいながら改めて計測し、整形外科枕を作成しました。
試しに頭を置いてみると「低い感じがする」とKさん。しかし、高すぎる枕に慣れてしまっていただけで、首にとっては適切な高さです。
「もちろん最初は違和感があるでしょう。だって、これまでは頭痛が出るほど高い枕を使っていたんですから。とりあえず一週間、我慢してみてください。かならず慣れます」
一〇日後、八八歳のKさんは二枚つづりの自筆レポートを届けてくださいました。
「低い枕にも、一〇日ほどで何の違和感もなくなりました。枕に頭をつけている感じがなく、頭と枕が一体になったようです。この枕の愛好家になり、これからの夜を一緒に過ごしたいと思うようになりました。終わり」
首痛・頭痛が解消したのはもちろんのこと、上向きにも横向きにも、自由に寝返りが打てるようになりました。
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6. 加齢による変形も、日常の工夫でコントロールできる
整形外科でどんな難しい病名を告げられても、日常生活のなかで十分な工夫をしていれば、病名を忘れるくらい快適に過ごすことができます。
問題は、変形した骨に日常生活のさまざまな負担がさらにかかることです。悪い姿勢、間違った健康体操、気温や気圧の変化——こうした悪条件が重なったときに症状が出現します。
「どんなことをすれば症状が出るかを知り、上手に予防すること。症状が出たら、悪化する前にすばやく対処すること」——この心得こそが大切です。「もう年だから」は禁句。この病気はかならずコントロールできるという気持ちが回復への第一歩です。
7. まとめ
首が痛くて眠れない・寝返りができないと感じたときは、以下の点を見直してみてください。
- 枕の高さを見直す:高すぎる枕は首を不自然な角度に固定し、痛みと寝返り困難の大きな原因になります。
- 寝返りを妨げない寝具環境を整える:マットレスの硬さ・掛け布団の重さも合わせて確認しましょう。
- 寝る前のストレッチと安心感:体と心の準備が睡眠の質を底上げします。
- 症状が続くなら専門家に相談:整形外科での計測に基づく枕調節は、高齢・変形性頚椎症の方にも効果が期待できます。
今の枕に限界を感じているなら、自分の体格に合わせて高さを調整できる枕への見直しを検討してみましょう。
ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善
山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。
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「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」
16号整形外科院長 医学博士
㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
できるだけそのままお伝えしております。
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