コラム詳細

腰椎椎間板ヘルニア患者の1か月後の経過を診察

腰椎椎間板ヘルニア患者の1か月後の経過を診察

16号整形外科院長であり、山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

この記事の執筆者

山田朱織のプロフィール(医学博士・16号整形外科院長)

前回の診察で「腰椎椎間板ヘルニア」と診断されてから1か月が経ちました。保存的治療(手術をしない治療)を開始して、患者様の症状はどう変わったでしょうか。1か月後のリアルな診察の様子をお届けします。

前回の診察の様子はこちら

【前回】腰椎椎間板ヘルニア患者の診察|治療と画像診断について

目次

1. 治療開始1か月でジョギングができるまでに改善

【結論】適切な初期治療(点滴療法や安静)を行うことで、多くの腰椎椎間板ヘルニアは手術をせずとも1か月で劇的な回復を見せます。

山田医師と患者の1か月後診察の会話

山田:あれから1ヶ月経ちましたね。点滴も全部終わりまして症状はどうですか?

患者:そうですね、本当最初の頃は買い物に歩いてるだけでも、もう10分で足が疲れちゃって歩けなくなってたぐらいだったんですね。それがだいぶ回復してきて、軽いジョギングぐらいはできるぐらいになりました。

山田:1ヶ月でだいぶ改善しましたね。しびれの感覚はどうですか?

患者:しびれも、全然ないわけではないんですけど前に比べたら普通な感覚に戻ってる気はします。

山田:それは良かったです。自覚症状はだいぶ良くなったようですね。それでは客観的に見て大丈夫かどうか、どう変わってるか診察させていただきます。

2. 整形外科医による触診と経過確認

自覚症状の改善に伴い、神経の圧迫度合いや筋肉の回復具合を、触診と運動テスト(SLRテスト等)によって客観的に評価します。

腰やお尻、太ももの裏を押したときの痛み(圧痛)は?

山田:この間痛かった(腰椎の)3番4番という場所を押してみますがどうですか?

患者:そんなに痛くないです。大丈夫です。

山田:お尻はどうですか?

患者:お尻はちょっと痛みがあります。

山田:前回1番痛かった太ももの裏ですが、どうでしょうか?

患者:やっぱりちょっと痛いですけど、前ほどじゃないです。

山田:ふくらはぎはどうですか?

患者:全然痛くないです。

山田:だいぶ回復してますね。左の坐骨神経の炎症は落ち着いてきているようです。

仰向けでの検査(下肢伸展挙上・筋力テスト)
足を上に上げるテストでも、前回よりもしっかりと上がるようになりました。また、足の親指を上下に動かす筋力テストでも、完全にとは言えないまでも8割方回復していることが確認できました。

足の筋力テストを診察中

左右の足の感覚(しびれ)や筋力の違いは?

山田:では感覚を見ていきます。左右どうですか?通常の感覚を10とすると?

患者:ちょっとだけフワッとした感じはありますけど、9ぐらいわかります。そんなに変わらないですね。

足の外側の感覚を確認

山田:感覚神経も運動神経も、前回から比べれば7〜8割以上回復しています。当初は内視鏡手術でヘルニアを取り除くことも考えていましたが、この回復ぶりであれば手術をしない「保存療法」のまま、残りのしびれを時間をかけて取っていく方針で問題ありません。

⚠️注意点:ただし、まだ左足の筋肉がわずかに細く、右足の方がしっかりしています。過信して急にダッシュをしたり激しい運動をしたりせず、段階的に運動量を増やしていきましょう。

3. 腰椎椎間板ヘルニアに「ぐっすり眠ること」が大事な理由

【解説】夜中に起きずに深く眠れる環境を整えることは、痛みやしびれといった神経症状を緩和・改善するために極めて重要な科学的要素です。

山田:寝る時の枕をご自宅の素材を使い、理学療法士が調整した「手作り枕(整形外科枕)」に変えてみていかがですか?

患者:首や肩がすごい楽になって、寝返りもスムーズに打てている気がします。あと、眠りが深い気がします。

山田:それは素晴らしいです。以前は腰のしびれや痛みのせいで、寝返りのたびに目が覚めたり気になったりしていたはずです。スムーズに寝返りが打てて腰に負担をかけない環境を作ることが、ヘルニアの最大の治療環境になります。これからもぜひ枕の「高さ」を意識して使い続けてください。

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4. 薬物療法と日常生活の注意点(これからの治療)

点滴治療の期間が終わった後は、同じ有効成分の「飲み薬」に切り替えて、残ったしびれにアプローチしていきます。

山田:初期治療で点滴していた薬剤(ノイロトロピンとメチコバール)は、同じ成分の飲み薬があります。これをこれから1〜2ヶ月続けていただき、残ったわずかなしびれを取っていきましょう。

ヘルニア再発・悪化を防ぐ日常生活のポイント
患部を温めて冷やさないこと(血流を良くして神経の回復を促す)
処方されたお薬をしっかり飲むこと
・激しい運動(ダッシュやコンタクトスポーツ)は避け、自主練などの軽い運動から少しずつ段階的に再開すること

5. まとめ:突然の足のしびれは適切な初期治療がカギ

今回の患者様は50代の男性で、慢性的な腰痛を抱えるなか、ある日突然始まった「足のしびれ」をきっかけに来院されました。

慢性的な腰痛をお持ちの方や、過去の検査で「椎間板は大丈夫」と言われた方でも、ある日突然椎間板ヘルニアを発症することは珍しくありません。足にしびれや突然の違和感を覚えたら、すぐに医療機関(整形外科)を受診することが何より大切です。

そして、寝ている間の「睡眠姿勢」を整え、背骨や腰への負担を最小限に抑えることも椎間板ヘルニアの重要な治療要素です。腰痛や足のしびれにお悩みの方は、ぜひ一度ご自身の「枕の高さ」を見直してみてください。

これまでの経緯

劇的な回復を支えた「初期治療」と
画像診断によるヘルニアの特定

ヘルニアの画像診断と初期治療

1ヶ月でジョギングができるまでに回復した背景には、発症直後の適切な診断と治療がありました。MRI画像で判明したヘルニアの正体と、山田先生が提案した「薬物療法・姿勢改善」の全容を振り返ります。

  • 画像診断:MRIで捉えた「神経の圧迫」
  • 治療の柱:点滴療法と日常生活の注意点
  • 睡眠の重要性:腰の負担を減らす枕の条件
診断と治療の内容を詳しく見る
  • 整形外科枕計測

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  • 診察をしている山田朱織

    「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

    16号整形外科院長 医学博士
    ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
    治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
    睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
    普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
    できるだけそのままお伝えしております。

本コラムの内容は動画でもお話ししています▼


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