コラム詳細

痛くて眠れない夜の対処法|3種類の痛みと悪循環の断ち切り方【整形外科医監修】

16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

今回は睡眠と痛みの関係性についてお話しします。

整形外科の現場でよく耳にするのが「痛いから眠れないんです」という訴えです。膝や首が痛くて夜中に目が覚める、目が覚めたらトイレに行く…。多くの方が痛みを「睡眠障害の原因」と考えていますが、実はその逆、眠れないことで痛みがさらに増すという関係があります。

目次


痛みと睡眠障害の悪循環

強い痛みや長続きする痛みが睡眠を妨げることは、多くの方が経験しています。しかし問題はその先です。

睡眠障害が慢性化すると、脳の痛み感受システムが過敏になり、もともとの痛みをさらに強く感じるようになります。そしてより強い痛みがさらなる睡眠障害を招く——この悪循環が始まります。

痛み ⇔ 睡眠障害の悪循環

痛みが強い
眠れない
痛覚が過敏になる
さらに痛みが増す

この悪いループを、どこかで断ち切ることが重要です

悪循環を断ち切る手段として薬があります。痛み止めで痛みを抑えるか、睡眠薬で睡眠を回復させるか——どちらのアプローチをとるかは、その方の痛みの種類によって変わります。

痛みの種類と適切な薬の選び方

痛みには原因によって大きく3つの種類があり、種類が違えば効く薬も全く異なります。自分の痛みがどのタイプかを知ることが、正しい治療の第一歩です。

痛みの種類 どんな痛み? 適切な治療(薬)
侵害受容性 けが・炎症・物理的損傷による痛み いわゆる痛み止め(炎症鎮痛剤)
神経障害性 痛覚が過敏に/神経損傷による痛み プレガバリン等の神経障害性疼痛薬
心因性 メンタルによる痛み(身体に異常なし) 精神科的治療・薬物療法(痛み止めは無効)

① 侵害受容性疼痛

けがや炎症、物理的な組織損傷によって起こる痛みです。ガラスで切れた、打撲した、関節が炎症を起こしているといった状態です。

この場合は薬局でも購入できる炎症鎮痛剤(いわゆる痛み止め)が有効です。市販薬で対応できることも多く、症状が強ければ医師に処方してもらいましょう。

② 神経障害性疼痛

長期間の痛みが続いた結果、痛覚が過敏になることで起こる痛みです。神経そのものが損傷されている場合もあります。

この状態になると、「痛みを受けていない時でも痛みを感じる」という過敏反応が起き、気持ちもつらくなります。

通常の痛み止めではなく、プレガバリンのような神経障害性疼痛専用の薬が使われます。

③ 心因性疼痛

身体には特に異常がないのに、メンタルへのダメージが首や頭の痛みとして現れる状態です。

⚠️ 重要:心因性疼痛には痛み止めも神経障害性疼痛薬も効きません。精神に対する治療や適切な薬物療法が必要です。心当たりのある方は、心療内科・精神科への受診をご検討ください。

プレガバリンが「一石二鳥」になる理由

神経障害性疼痛に使われるプレガバリンという薬に、興味深い特徴があります。

このお薬の副作用のひとつが眠気です。夜に服用すると、痛みが和らぐだけでなく、副作用として「よく眠れる」という効果が現れる方がいます。

痛みと睡眠障害、両方に作用する「一石二鳥」

「副作用の眠気」が悪循環を断ち切る武器になる場合があります。痛みを取りながら眠れるようになる——まさに悪循環のふたつの課題を同時に解決できる可能性があるお薬です。

ただし、すべての方に同様の効果が出るわけではありません。使用するかどうかは主治医とよく相談して決めてください。

薬に頼らず枕を変えるだけで改善した例

実は、枕を適切に合わせることで夜中に痛みで目が覚める症状が改善するケースがあります。

枕という毎晩使うものを、自分の体にきちんと合わせるだけで、痛み止めや睡眠薬に頼らなくてもぐっすり眠れるようになった患者さんが多くいらっしゃいます。

悪循環を断ち切る枕の3条件:

  1. 体に合った高さ
  2. 適度な硬さ
  3. 平らな形状
詳しく解説

枕の高さの選び方のコツを整形外科医が解説します

凹凸のある枕や柔らかすぎる羽毛枕は首の姿勢が悪くなり、寝返りが打ちにくくなるため、知らず知らずのうちに痛みの悪循環の原因になっている場合があります。

もし今の枕が体に合っていないかもしれないと感じる方は、ぜひ見直しのきっかけにしてください。

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よくある質問

Q. 痛みで眠れないのはなぜですか?

痛みが強くなると睡眠が妨げられ、さらに睡眠不足になると脳の痛み感受システムが過敏になって痛みをより強く感じるという悪循環が起きるためです。慢性化すると、もともとの痛みよりもはるかに強い苦痛を感じるようになる場合があります。

Q. 痛み止めを飲んでも効かない場合はどうすればいいですか?

痛みの種類によっては通常の痛み止めが効かないことがあります。神経障害性疼痛の場合はプレガバリンなどの専用薬、心因性疼痛の場合は精神科的治療が必要です。痛み止めが効かないときは自己判断せず、整形外科や痛み外来に相談することをお勧めします。

Q. 枕を変えると痛みで眠れない状態が改善しますか?

首や肩まわりの痛みで眠れない方の場合、枕の高さ・硬さ・形状が合っていないことが原因のひとつになっている場合があります。体に合った枕に変えることで夜中に目が覚める症状が改善する患者さんは実際に多くいらっしゃいます。まずは枕の見直しから始めてみることをお勧めします。

Q. 睡眠薬と痛み止め、どちらを使えばいいですか?

どちらを選ぶかは痛みの種類と程度、睡眠障害の状態によります。悪循環を断ち切るためにどちらかを使う場合でも、自己判断での服用はリスクがあります。必ず医師に相談した上で、症状に合った薬を処方してもらってください。

  • 診察をしている山田朱織

    「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

    16号整形外科院長 医学博士
    ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
    治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、睡眠姿勢や枕の研究を行っております。普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えしております。

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