アメリカの枕は柔らかすぎる?整形外科医が現地寝具店で体験してわかったこと
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

今回は「整形外科医の本音シリーズ」として、世界の枕事情・アメリカ編をお届けします。
このシリーズは山田の現地体験レポートです。データよりも「行って、見て、寝て、感じたこと」をそのままお伝えするコーナーです。
アメリカで目立つのは「とにかく柔らかい枕」
世界には色々な体格・人種・男女の違いがあり、使う枕もそれぞれ異なります。ただ洋の東西を問わず、昔からある羽毛の枕が今も市場では根強く売れています。
家に代々あるから何となく使い続けている、というケースも多いようです。
日本との大きな違い:硬さと高さへの意識
私の娘がアメリカにいる関係でアメリカを訪れる機会が多く、現地の寝具店・枕専門店にもよく足を運びます。
そこで感じるのが、日本のような「四角くて硬くて高さを合わせる枕」はほとんど見かけないということです。
まず店員さんに聞くと「みんな柔らかいものが大好き」という答えが返ってきます。羽毛でなくても、高級な寝具屋では低反発ウレタン系の枕が目立ちます。柔らかくて感触が良いという好みが優先されているのです。
一方で、近年の研究成果を受けてか、ラテックス製や少し硬めのウレタン系枕も市場に出てきています。
ニューヨークの高級寝具店で実際に寝てみた
「なぜそんなに高くて柔らかい枕が多いの?」を聞いてみた
ニューヨークに「ココマット」という比較的高級な寝具店があります。そこでマットレスと枕を体験させてもらい、率直に聞いてみました。
返ってきた答えは、「アメリカ人はベッドが柔らかいから仰向けでは枕はいらない。横向きになったとき、肩幅がある分だけ何かが必要になるから枕をする」というものでした。
柔らかいベッドに沈み込んだ状態と、羽毛枕で頭が沈んだ状態——実はどちらも、首にかかる負担の構造は共通しています。レントゲンと動画でその姿勢の違いを4種類の枕を比べながら解説したコラムもあわせてご覧ください。
▶ 羽毛枕・凹凸枕・整形外科枕を比較|レントゲンで見る寝姿勢と寝返りの違い
実際に寝ると…腰がズドーンと沈む
実際に寝てみると、確かにベッドが柔らかく腰がズドーンと下がります。腰が沈むと頭は相対的に下がらなくなるため、枕をしているような感覚になります。
そのため横向きになった時だけ、体格の大きい方は肩幅分の高さが必要になって枕を使う。眠りが浅い時や朝起きる際に枕を外したりしながら寝ているのです。
ニューヨークだけでなく、シリコンバレーやサンディエゴ、カリフォルニア全体でもこの傾向が強いと感じました。
人種・体格が違っても「枕の高さ合わせ」は万国共通
一方、私が整形外科の国際学会でアメリカ人やヨーロッパの整形外科医の先生方に枕を計測させていただいた経験があります。
その結果、アメリカ人にも欧州人にも、高さを合わせて表面がフラットで適度に硬い枕がぴったりはまるのです。ある先生からは「この枕は自分のフレンドだ」と言っていただけたほどでした。
「柔らかい枕が好き」は文化であって、体の要求ではない
アメリカ人に柔らかい枕が解剖学的に合っているわけではありません。
柔らかいベッドに合わせた結果として柔らかい枕文化が生まれているだけで、整形外科的に正しい枕の条件——適切な高さ・適度な硬さ・フラットな表面——は人種を問わず共通だと感じました。
日本でも海外でも、好みで枕を選ぶのではなく、体格に合わせた高さで選ぶことが何より大切です。

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好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
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「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」
16号整形外科院長 医学博士
㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
できるだけそのままお伝えしております。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼
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