コラム詳細

顎が外れた 深夜はどうする?救急外来での整復体験と整形外科医の本音

16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

山田朱織って誰?

プロフィールをご紹介

整形外科医の本音シリーズ、今回は救急外来についてお話していきます。

夜中に突然「顎が外れた」「救急車を呼ぶべきか」と困った経験はありませんか? 今回は実際に救急外来で顎関節脱臼の整復を行った体験談を中心に、救急外来の実情についてお伝えします。

目次


救急外来とは――整形外科医が感じた「勉強し直し」の必要性

私は開業医として、クリニックのある神奈川県相模原市の救急外来に2〜3ヶ月に1回ほどお手伝いに行っています。

そこでは小児科・内科・外科という3つの診療科目を担当しており、整形外科だからといって整形外科の患者さんだけを診るのではなく、外科系全般の患者さんを診なければいけません。

若い頃は救急外来にも勤務し、当直で全科を診ていたので幅広い知識がありました。しかし卒業して25年も経つと、良い意味でも悪い意味でも、そういった広い知識はだんだん薄れてきます。専門一筋になってしまうんですね。

救急外来全般の患者さんを診る上ではそれが問題になることもあり、またすべての科を診られるように勉強し直さなければと感じる日々です。


予習・復習が支える救急外来の現場

救急外来は緊急性・重症度によって一次・二次・三次の3つに分かれており、次数が高くなるほど緊急性・重症度が高くなります。私が担当しているのは一次救急で、処置をすれば一旦自宅へ帰れる比較的軽症の方が対象です。

それでも、突然の頭部外傷・腹部外傷、高齢者や小さな赤ちゃんを診るときは少々焦ることもあります。そこで大切にしているのが日々の予習と復習です。

もう3年ほど続けていますが、どんな患者さんが来るかも徐々に見えてきました。実際に経験した症例はしっかり復習し、想定される疾患は事前に予習する。以前は救急マニュアルを携帯していましたが、今はYouTubeやインターネットを活用して、特に重要なポイントはしっかり知識を入れた上で救急外来に臨んでいます。


救急外来の忙しい一日

ある日、とても忙しい夜がありました。夜8時に到着するとすぐに患者さんが次々と来院し、火傷に始まり、階段からの転落による骨折、捻挫、縫合が必要な大きな外傷……3時間の間に12〜13人ほどの患者様を診たでしょうか。

自分のクリニックであればどこに何があるか把握していますし、レントゲンは技師が撮ってくれて私は読影に集中できます。処置は慣れた看護師が準備し、使い慣れた道具で治療できます。しかし救急外来ではそうはいきません。レントゲンの運搬から診察・処置・投薬・紹介状の作成まで、様々な業務が重なりながら次々と患者様が来るのです。

そんなとき本当に頼りになるのが、経験豊富な看護師さんです。私はとても実力のある看護師さんとペアを組むことが多く、大変助かっています。私1人ではできないことが、チームでできるのです。


顎関節脱臼の整復――顎が外れたらどうなる?

特に印象に残っている患者様のお話をしましょう。顎関節脱臼の患者様です。

「顎が外れてしまった」と救急要請がありました。立って動けるため大学病院や市中病院に搬送するほどの症例ではなく、一次救急で対応してほしいとのことで依頼を受けました。

患者様は以前にも顎関節が外れたことがあり、気をつけていたそうです。その日も寝るときにあくびが出そうになって「注意しなきゃ」と思いながらあくびをしたら、片側が外れてしまったとのことでした。

片側だけが外れるパターンは、整復がなかなか難しいのです。患者様と言葉を掛け合いながら「先生、そこ指がうまく当たってないよ」「ここを押せばいい?この方向?おっ、入りそうだ」というやりとりを重ね、なんとか整復にたどり着きました。

患者様も痛い思いをされましたが、最後にきちんと整復できて元の顎の状態に戻ったとき、本当にほっとした表情でとても喜んでくださいました。


救急外来を通じて、25年間ほぼ整形外科一筋でやってきた私が、他の科の患者様を診させていただく機会をいただけることは、とても勉強になりありがたいことだと感じています。これからもより良い専門外の治療ができるよう精進してまいりますので、患者様もどうぞ協力的に診療に当たっていただければと思います。よろしくお願いいたします。


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  • 診察をしている山田朱織

    「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

    16号整形外科院長 医学博士
    ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
    治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
    睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
    普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
    できるだけそのままお伝えしております。

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