コラム詳細

寝不足だと太る理由|レプチン・グレリン・レム睡眠から読む肥満メカニズムと対策【整形外科医解説】

16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。


山田朱織って誰?

プロフィールをご紹介

今回は「しっかり睡眠を取らないと太る」という、現代人にとって他人事ではないお話です。

睡眠不足と聞くと、不健康なイメージで体が弱ってしまって逆に痩せるんじゃないの?と思うかもしれませんが、実は全く逆なんね。

しっかり睡眠を取らないと「太る」という研究結果が、近年世界中で次々と発表されています。

睡眠と、太る・痩せるという体格変化には、切っても切り離せない深い因果関係があるのです。

  

目次


睡眠時間と肥満の研究

ある韓国の研究では、平均睡眠時間が7~9時間の方と、5~6時間の方を比較する調査が行われました。

その結果、7~9時間ちゃんと寝てる方の方が痩せ傾向があり、短時間しか睡眠を取っていない人には肥満の傾向が見られることが分かりました。

しかしながら肥満になる理由は、睡眠の時間だけでは決してありません。

食事の内容や運動習慣、遺伝的な問題、持病の有無など、色々な要素が絡み合って決まります。ですが、その中に「睡眠時間」も大きな1つの要素として科学的に影響していることが証明されたわけです。

当院を受診される患者様でも、「ここ数年で急に太ってしまった」という声をよく耳にします。

外出の機会が減って運動不足になったことも一因ですが、そういった方のお話を詳しく伺うと、やはり睡眠の質が良くないんですね。

夜中に何回も目が覚めてしまったり、寝る時間がバラバラで不規則になってしまったり……。こうした睡眠の乱れが、体重増加に拍車をかけている可能性が十分にあります。


太るメカニズム

睡眠を十分にとらないと太ってしまうメカニズムには、主に3つの医学的な原因があります。

1、糖調節(インスリン抵抗性)

人間の体の中には、血糖値をコントロールして常に一定のコンディションを整えようとする糖の調節機能が働いています。しかし、寝不足になるとこの機能がガタガタになってしまうのです。

寝不足によって細胞がインスリン(血糖値を下げるホルモン)に反応しにくくなる「インスリン抵抗性」が高まると、血液中の糖分がうまく処理されず、脂肪として蓄えられやすくなります。これが糖尿病肥満を引き起こすダイレクトな引き金になります。

2、食欲を操るホルモンバランス

私たちの体には、肥満に深く関係している「レプチン」と「グレリン」という2つの食欲コントロールホルモンがあります。これらが寝不足によって恐ろしい変化を起こします。

レプチン(食欲を抑えるホルモン)

脂肪細胞から分泌され、食欲を抑制する働きを持っています。

通常はお腹いっぱいになると満腹中枢を刺激して食べるのを止めさせてくれますが、睡眠不足になるとこのレプチンの分泌量が減ってしまいます。あるデータでは、わずか2日間の寝不足でも約15%も減少すると言われています。つまり、満腹センサーが壊れて食べ続けてしまうのです。

グレリン(食欲をそそるホルモン)

主に胃から分泌され、食欲を激しく増進させるホルモンです。

厄介なことに、睡眠不足になるとこのグレリンの分泌量が約28%も増加することが分かっています。体がエネルギー不足だと勘違いし、「もっと食べろ」と命令を出すわけです。

食欲を抑えるレプチンが減り、食欲をそそるグレリンが急増する。慢性的な睡眠不足があると、意思の強さとは関係なく、ホルモンの暴走によって食べ続けて太ってしまうのです。

このレプチンとグレリンのホルモンバランスが「寝不足」によって「いつもよりおなかがすく」「甘いものや炭水化物が欲しくなる」という状態につながってしまいます。

3、覚醒時の行動と脳の暴走

夜中寝れずに起きているとお腹が空いてきますよね。これは単に起きている時間が長いからだけではありません。

寝不足の脳は、理性的な判断をする「前頭葉」の働きが低下し、逆に快感を求める「報酬系」という部分が過剰に働いてしまいます。そのため、夜中に「体に悪い」と分かっていても、カップ麺やポテトチップスなどのジャンクフードを強烈に欲してしまい、理性が負けて食べてしまうのです。


レム睡眠の減少が「ドカ食い」を招く?


筑波大学が行った研究で、睡眠の質、特に「レム睡眠」と太る・痩せるの関係性が明らかになりました。

マウスを使った実験で、レム睡眠を意図的に抑制(減少)させたところ、通常の睡眠をとったマウスに比べて、なんとショ糖(糖質)と脂質(油)の摂取量が劇的に増えるということが分かったのです。

簡単に言うと、寝ている間のレム睡眠が減ってしまうと、脳がバグを起こして「甘いもの」や「脂っこいもの」を異常に食べたくなるメカニズムが科学的に証明されたわけです。夜中にチョコレートやジャンクフードが無性に恋しくなるのは、まさにこのレム睡眠不足が原因だったのですね。

詳しく解説

レム睡眠とノンレム睡眠どちらが重要なの?

太らないための睡眠対策

1、適切な枕で「レム睡眠」を増やす

睡眠中の食欲暴走を抑えるためには、何より「睡眠の質」を高めてレム睡眠をしっかり確保することが重要です。そのための一番の近道が、体に合った枕を使うことです。

実は、当研究所の最新の研究において、「整形外科枕を使うとレム睡眠が増える」という非常に興味深い研究結果が出ています。適切な高さで首を支え、スムーズな寝返りを促すことで、脳がしっかりと休まり、レム睡眠を含む良質な睡眠サイクルを作ることができるのです。「太りにくい体質」を作るためにも、まずは枕を見直してみましょう。

詳しく解説

枕の高さの選び方のコツを整形外科医が解説します

2、寝る・起きる時間を決め、朝の光を浴びる

規則正しい時間に寝て、同じ時間に起きる生活リズムを整えましょう。

特に大切なのは、朝起きたらまずカーテンを開けて太陽の光を浴びることです。これで体内時計がリセットされ、夜に睡眠ホルモン(メラトニン)が正しく分泌されるようになり、深い眠りへと繋がります。

3、睡眠時間を確保し、質でカバーする

個人差はありますが、科学的に太りにくいとされる「7時間以上」の睡眠時間を確保するのが理想です。

もし仕事などでどうしても十分な時間が確保できない日があっても、諦める必要はありません。枕を整えて睡眠の「質」を高めることで、短い時間でもレム睡眠をしっかり確保し、体に受ける悪影響を最小限に抑えることができます。

睡眠不足や肥満にお悩みの方は、「正しい枕を使って、質の良い7時間以上睡眠を取る」ということをぜひ今日から試してみてください。

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肩こりの改善も、良質なレム睡眠も「正しい枕の高さ」から
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    「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

    16号整形外科院長 医学博士
    ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
    治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
    睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
    普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
    できるだけそのままお伝えしております。

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