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首筋が痛い原因と対処法|場所・筋肉の種類・懸垂後の痛みまで整形外科医が解説

首筋が痛い!原因と対処方法を解説

16号整形外科院長であり、山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

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山田朱織が診察をしている様子

普段から16号整形外科の診察室で患者様にお伝えしていることを、できるだけそのままお届けします。


今回は「首の筋が痛い原因と対処方法」についてお教えしたいと思います。

首筋というと、日常的な張りや凝り、寝違えの痛みなど、色々あると思うのですが、厳密にはどこの場所を指すのかについても詳しくお話しいたします。

目次

1. 首筋とは、後ろも横も少し前の部分も含めて首回りの筋肉

首筋の定義

一般的に「首筋が痛い」「首筋が張る・凝る」「首筋のトレーニング方法を教えてほしい」という風によく言われますが、「首筋」という言葉は実は医学用語ではないんです。一般的な俗称(一般用語)になります。

広辞苑を引くと、首筋とは「首の後ろの部分」と書いてあります。しかし、私が日々外来で診察を行う中で、患者様が使う「首筋の痛み」というのは決して首の後ろだけではありません。

首の横や、やや前の筋を含めて、首回りにある筋肉全体を総称して首筋と呼んでいるケースがほとんどです。

ですので、あえて定義するのであれば「首筋とは、後ろも横も少し前の部分も含めて首回りの筋肉全体」という風に解釈してください。

2. 首筋の役割

首筋の役割

首は、非常に重たい頭(約4〜5kg)を常に支えています。じっとしている時だけ働いているわけではありません。

例えば、スマホを見る、本を読む、文字を書く時は下を向きますし、電球を交換したり植木の剪定をしたりする時は逆に上を向きます。どんな姿勢をとる時も、頭が倒れないようにしっかりと支えてくれているのが首筋です。

首の安静を保ち、同時にあらゆる方向への動きを安定させてスムーズに動かすこと。これが首筋の重要な役割です。

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3. 首の筋肉の種類(主な4つの筋肉)

首筋を構成する主な筋肉について、その構造と特徴を解説します。

① 僧帽筋(そうぼうきん)

僧帽筋の解説

僧帽筋は非常に大きな筋肉で、大きく3つのパーツに分かれています。後頭部、胸椎(胸の骨)、腕の骨(鎖骨や肩甲骨)にまたがって付着しており、それぞれ役割が異なります。

  • 僧帽筋 上部:肩甲骨を持ち上げる(すくめる)筋肉
  • 僧帽筋 中部:肩甲骨を内側に引き寄せる筋肉
  • 僧帽筋 下部:肩甲骨を引き下ろす筋肉

普段何気なく肩や腕を動かしているようですが、このように細かく分かれたパーツが連動して動くメカニズムになっています。この筋肉は、懸垂やバーベルを用いたウェイトトレーニングなどで色々な方向に負荷をかけることで鍛えることができます。

② 肩甲挙筋(けんこうきょきん)

肩甲挙筋の解説

首の骨(頸椎)から、肩甲骨の上部に向かってくっついている筋肉です。文字通り、肩甲骨を上に「挙(あ)げる」働きをします。

例えば、重いリュックを背負うと荷物の重みで肩が引き下げられますよね。この引き下げられた肩甲骨を落ちないように上へ持ち上げようと健気に働き続けるのが肩甲挙筋です。そのため非常に疲労しやすく、硬くなってしまうことで激しい肩こりの原因になります。こりを感じた時は、肩甲骨を大きく動かして血流を良くし、ほぐしてあげることが大切です。

③ 菱形筋(りょうけいきん)

菱形筋は、深層にある筋肉で「小菱形筋(しょうりょうけいきん)」と「大菱形筋(だいりょうけいきん)」の2つに分かれています。どちらも肩甲骨を内側(背骨側)に寄せるための筋肉です。

日常的に猫背姿勢が続くと、肩甲骨が常に外側(前方)に開き、背中側にある菱形筋はずっと引っ張られた状態(緊張状態)になります。これによって筋肉がガチガチに凝り固まってしまうのです。凝りを感じたら、左右の肩甲骨を後ろでギュッと寄せるようなストレッチを行い、しっかりとほぐしてください。

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④ 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)

胸鎖乳突筋の解説

耳の後ろにある骨の突起(乳様突起)から、首の斜め前を通って、鎖骨や胸骨へとつながっている大きな筋肉です。首を前に曲げたり、左右に回旋させたりするときに使われます。

スポーツなどの運動時に頭を素早くコントロールする筋肉でもあるため、痛めないように日頃からしっかり鍛えておくことが重要です。特にラグビーやサッカーでのヘディングなど、頭部に衝撃がかかる激しいスポーツでは非常に重要な役割を果たします。

4. 胸鎖乳突筋の鍛え方・セルフケア

自宅やオフィスのちょっとした隙間時間でできる、簡単な首筋の等尺性運動(アイソメトリック・トレーニング)をご紹介します。

ステップ①:前方向への押し合い(首の前側を鍛える)

額に手のひらを当てて、頭を前にグッと押し出すように力を入れます。手はそれに負けないように後ろへ押し返します。首の前の筋肉(胸鎖乳突筋など)が突っ張って力が入っているのを確認してください。

ステップ②:回転方向への押し合い(首の横・斜め前を鍛える)

右のこめかみ辺りに右手を置きます。頭を右後ろへ回旋させようとする力に対して、右手で押し返して回転を防ぐように抵抗をかけます。首筋にしっかり負荷がかかっているのを感じながら行いましょう。反対側(左側)も同様に行います。

どちらの体操も、決して無理に強く押しすぎず、首に心地よい緊張感が生まれる程度の力(痛くならない範囲)で数秒間維持してみてください。

5. 首筋を鍛えるときの注意点(安静にすべきサイン)

首筋の注意点

単に「首筋が痛いからトレーニングをして鍛えれば治る」というわけではありません。時には絶対に動かさず、安静を取らなければいけないケースが存在します。

セルフチェックの見極め方として、まずは鏡の前に立って左右の首筋をよく見比べてみてください。

⚠️ トレーニングを中止し、安静にすべき危険サイン
・左右を比較して、明らかに片側だけが腫れている
・触ると明らかに熱を持っている(熱感がある)
・皮膚の表面が赤くなっている

このような症状が見られる場合は、筋肉の疲労ではなく、組織の急激な損傷や感染症など安静・早期加療が必要な原因が隠れている可能性が非常に高いです。むやみに自分で揉んだり鍛えたりせず、速やかに専門の医療機関(整形外科など)を受診してください。

6. 首筋に痛みがあったときの対処方法

首筋に痛みが出た場合の応急処置は、その痛みの「原因」が急性か慢性かによって真逆になります。

● 急激な炎症がある時(腫れ、熱感、ズキズキとした強い痛み)

この場合は「アイシング(冷却)」が原則です。氷嚢や保冷剤をタオルで包み、痛む部位を軽く冷やして炎症の広がりを抑えましょう。

● 寝違えなどで首が動かない時(急性の激しい炎症・熱感がない場合)

触っても熱を持っておらず、慢性的なコリの延長や寝違えで突っ張っている状態であれば、むしろ「温める(温熱療法)」ほうが効果的です。蒸しタオルや入浴などで血流を促進し、強張った筋肉を緩めてあげましょう。

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ご自身での判断が難しい場合は、極端に冷やしたり温めたりする前に、まずは整形外科等の専門医に相談されることを強くお勧めします。

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7. 首筋の痛みに隠れる整形外科以外の病気

首筋の周りには、筋肉や頸椎といった整形外科的な組織だけでなく、重要な血管や神経、腺組織が密集しています。そのため、以下のような内科・耳鼻咽喉科・循環器内科領域の病気が原因で首筋に激痛や違和感が生じるケースがあります。

  • 耳下腺炎(じかせんえん):耳の下から首の横にかけて腫れと強い痛みが生じます。
  • 椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり):首の後ろを走る重要な血管が裂ける病気で、突発的な激しい後頭部・首筋の痛みが特徴です。脳卒中につながる恐れがあるため大変危険です。
  • 心筋梗塞(しんきんこうそく):心臓の血管が詰まる病気ですが、その関連痛として左側の首筋や肩、下顎に強い痛みが放散することがあります。
  • 亜急性甲状腺炎(あきゅうせいこうじょうせんえん):のどぼとけのやや下(甲状腺)に炎症が起き、首の前側が強く痛みます。発熱を伴うことが多いです。

「いつものコリだろう」と放置せず、尋常ではない強い痛みや、発熱・腫れを伴う場合は、速やかに総合病院や適切な診療科を受診してください。

首筋の痛みに関するよくある質問(FAQ)

Q 動画のセルフケアをしても、首の付け根や特定の場所にピクッとした痛みが残る場合は?

A

セルフケアで全体の強張りが軽減しても、特定の局所に鋭い痛みが残る場合、日中の姿勢だけでなく「睡眠中の首の姿勢」が影響している可能性を疑います。日中にいくら筋肉をほぐしても、体格に合わない枕で寝ていると、夜間の数十時間にわたって首の骨(頸椎)や神経に持続的な負担がかかり、症状が睡眠中に毎晩再発(悪化)してしまいます。まずは適切な高さの枕への見直しを行い、それでも改善しない場合は頸椎椎間板ヘルニアなどの疾患が隠れている可能性もあるため、整形外科の受診を検討してください。

Q 痛み止め(ロキソニン等)を飲んでも、首から肩甲骨の痛みが消えない時はどうすればいい?

A

消炎鎮痛剤(痛み止め)を服用しても痛みが全く治まらない場合、痛みの根本原因(骨の変形、神経の圧迫、著しい姿勢の悪さなど)が物理的に解決されていないことが考えられます。まずは日中に首の姿勢を正すことを意識し、夜間は体格に適合した枕で頸椎を自然なカーブに保ち、神経を休ませて様子を見てください。単なる一時的な筋肉疲労ではなく、頸椎症などの整形外科的疾患や、内科的な問題が背景にある場合もあるため、痛みが数日続く場合は早めに専門医へ相談しましょう。

Q 菱形筋(りょうけいきん)の正確な場所はどこですか?

A

菱形筋は、背中の上部で肩甲骨と背骨を結ぶように位置しており、「小菱形筋」と「大菱形筋」の2つから成ります。
小菱形筋:第7頸椎(首の最下部の骨)〜第1胸椎の突起から、肩甲骨の内側の上の縁に付着。
大菱形筋:第2〜第5胸椎の突起から、肩甲骨の内側の下の縁に付着。
これらは左右の肩甲骨を背骨側へ引き寄せる役割を担っており、デスクワークなどの猫背姿勢で引き伸ばされ続けると、慢性的なコリや激しい痛みの原因となります。

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    「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

    16号整形外科院長 医学博士
    ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
    治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
    睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
    普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
    できるだけそのままお伝えしております。

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